経営アドバイス・コーナー

加藤税理士事務所
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東北税理士会所属

ちょっと一息・・・

・中小企業経営者の方々への「プチメッセージ」的な感じで綴っていきたいと思っております。

電子帳簿保存法(e-文書法)におけるスキャナ保存の要件が改正されました。

今回の改正により、国税関係書類についてのスキャナ保存の要件が相当緩和されます。

①これまで、契約書や領収書等については、その記載された金額が3万円未満のものに限りスキャナ保存の対象とされていましたが、今回の改正により「金額に関わらず全て」スキャナ保存の対象となります。
②これまでスキャナ保存の際に必要とされていた「電子署名」が不要となります。
※但し、電磁的記録の非改ざん証明機能を維持する観点から、「タイムスタンプ」を付すことが必要となります。
③これまで必要要件とされていた「カラー保存」や「書類の大きさに関する情報の保存」がそれぞれ不要とされ、いわゆる「グレースケール」による読み取りも認められることとなりました。

なお、この改正による申請書の受付は本日平成27年9月30日からです。
申請書の提出期限はこれまで通り「保存に代える日の3月前の日まで」です。
平成27年9月30日に承認申請書を提出すれば平成28年1月1日より電子データで保存できます。

詳しくは下記サイトをご参照ください。
国税庁の案内パンフレット(PDF)

国税庁「電子帳簿保存法Q&A(平成27年9月30日以後の承認申請対応分)」

「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」が公表されました。

平成26年12月11日、特定個人情報保護委員会から、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」が公表されました。

このガイドラインは、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号法」といいます。)第4条及び第37条に基づき、特定個人情報保護委員会から告示されたもので、個人番号を取り扱う事業者が特定個人情報(個人番号をその内容に含む個人情報をいいます。)の適正な取扱いを確保するための具体的な指針を定めるものです。

番号法は、行政機関等に限らず、事業者など、個人番号を取扱う全ての者に適用されます。

「個人情報保護法」がその適用の対象を一定の範囲の者に限定しているのに対し、番号法は「全ての事業者」を適用の対象としているのが大きな特徴です。

事業者が番号法の適用を受ける場面として、「事業者が従業員等から個人番号の提供を受けて、これを給与所得の源泉徴収票、給与支払報告書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の必要な書類に記載して、税務署長、市区町村長、日本年金機構等に提出する事務」などとしており、「個人番号関係事務」としています。(同法第9条第3項)

事業者が、講師に対して講演料を支払った場合において、所得税法第225条第1項の規定に従って、講師の個人番号を報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書に記載して、税務署長に提出することも「個人番号関係事務」に当たります。

従業員等が、所得税法第194条第1項の規定に従って、扶養親族の個人番号を扶養控除等申告書に記載して、勤務先である事業者に提出することも「個人番号関係事務」に当たります。

注意点として、番号法は「個人情報保護法」とは異なり、本人の同意があったとしても、例外として認められる場合を除き、上記の個人番号関係事務及び個人番号利用事務以外で個人番号を利用してはならないとされています。
故、社員の管理のために、個人番号を社員番号として利用することは認められません。

以上の様に、事業者は社会保障・税番号制度の導入に伴い、個人番号を取扱う上で注意すべき点が多数ありますので、一度ガイドラインに目を通す必要があると思われます。

「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(PDF)

社会保障・税番号制度(内閣官房トップページ)

社会保障・税番号制度について~平成27年10月から個人番号・法人番号が通知されます~

2014.10.30
国税庁はこのほど「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律(番号法)」が成立し(平成25年5月31日公布)、社会保障・税番号制度が導入されることを受けて「社会保障・税番号制度について」をホームページに公表しました。

これによりますと・・・
所得税については平成28年分の申告書から、
法人税については平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告書から、
法定調書については平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから
個人番号・法人番号の記載が開始されるとしています。

なお、詳細については、「国税庁ホームページ(お知らせ)」をご参照ください。

「社会保障・税番号制度の早わかり」(PDF)も併せてご参照下さい。

(消費税関係)平成26年3月及び4月分の賃貸料(家賃等)の適用税率について

このほど国税庁消費税室から「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」が公表され、賃貸料(家賃等)に係る適用税率について公式見解が示されました。

平成25年10月1日以後に締結する賃貸借契約において、月極に賃貸料の支払期日を①前月○○日としているケースと②翌月○○日としているケースの場合、施行日前後の平成26年3月分と4月分の賃貸料に適用する税率は、次のように取り扱うことになっており、資産の譲渡等の時期と適用税率とは必ずしも一致しませんので注意が必要です。

①4月分賃貸料は、施行日以後の資産の貸付けの対価として受領するものなので、施行日前の3月中に受領していても4月末日における税率(8%)が適用される。

②3月分賃貸料は、施行日前の資産の貸付けの対価として受領するものなので、施行日後の4月中に受領していても3月末日における税率(5%)が適用される。

「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」

平成25年12月5日に「経営者保証に関するガイドライン」が公表されています(中小企業庁)

●保証契約時等の対応のほか、保証債務の整理の際の対応として、
①経営者の経営責任の在り方
②保証人の手元に残す資産の範囲についての考え方
③保証債務の一部履行後に残った保証債務の取扱いに関する考え方
等について規定しています。

「契約者保証に関するガイドライン」

「契約者保証に関するガイドライン」Q&A

「消費税転嫁対策パンフレット」をご活用ください。

平成26年4月1日の消費税率引上げに際し、消費税を円滑かつ適正に転嫁できるよう、平成25年10月1日に「消費税転嫁対策特別措置法」が施行されました。 これを受けて中小企業庁は、本法の内容を中小企業・小規模事業者等の皆様向けに分かりやすく解説したパンフレットを作成しました。是非一度手にとって、御活用ください。

ダウンロードはこちら

主要展示会カレンダー(中小企業ビジネス支援サイト)をご参照ください。

中小企業ビジネス支援サイト(J-Net21)をチェックしてみましょう。
【主要展示会カレンダー】はこちら

「インターネットサービス利用時の情報公開範囲の設定に注意!」をご参照ください。

独立行政法人 情報処理推進機構では、2013年10月の呼びかけとして「インターネットサービス利用時の情報公開範囲の設定に注意!」を掲げています。

独立行政法人 情報処理推進機構のホームページ

今月の呼びかけでは、どこまで情報を公開すると脅威になるかを示すとともに、意図しない公開が起こらないよう、Googleグループ、Facebook、Twitterなどのインターネットサービスの設定例を図解で示して、情報公開の範囲を意識したサービスの利用方法を解説しています。
是非ともご参照ください。

「インターネットサービス利用時の情報公開範囲の設定に注意!」はコチラ

海外販路開拓に【中小機構 海外展示会出展サポート】をご活用ください(8月1日)

・中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)では、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)が海外展示会において出展する「ジャパン・パビリオン」の参加中小企業の皆さまを対象として、「海外展示会出展サポート」を実施します。
詳しくはコチラをご参照ください。

事業承継に関するリーフレット(平成24年10月3日)

中小企業庁のホームページで、事業承継に関するわかり易いリーフレットが紹介されています。
ご参照ください。

中小企業庁HP 【事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)を作成しました】はこちら

「中小企業施策利用ガイドブック」を是非ともご参照ください。

中小企業庁より、「中小企業施策利用ガイドブック 平成24年度版(第2版)」が発行されています。
当ガイドブックでは、中小企業の方が中小企業施策をご利用になる際の手引書として、主な施策の概要が紹介されています。
ガイドブック(PDF)をダウンロードできるページ(中小企業庁HP)はこちらです。

又、中小企業庁では、中小企業施策を広く知っていただくための冊子を各種発行しています。
発行冊子の紹介ページはこちらです。

「中小企業の会計に関する基本要領」が公表されました!

中小企業庁と金融庁との共同事務局による「中小企業の会計に関する検討会」は、「中小企業の会計に関する基本要領」を策定し、それに至った経緯、今後の検討課題などと合わせ、「中小企業の会計に関する検討会報告書(中間報告)」として取りまとめました。平成24年2月1日15時に、中小企業庁、金融庁、日本商工会議所、企業会計基準委員会のホームページで公表されましたのでご案内いたします。


・経済産業省(中小企業庁)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2012/0201KihonYouryou.htm

・金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/23/sonota/20120201-1.html

・日本商工会議所
http://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2012/0201152600.html

・企業会計基準委員会
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/domestic/sme14/

金融庁から「中小企業金融円滑化法の期限の最終延長等について」が公表されました。

・平成23年12月、金融庁は、中小企業者等の事業再生等に向けた支援への移行を円滑に進めていく「ソフトランディング」を図るため、中小企業金融円滑化法を今回に限り1年間再延長するとともに、24年度を同法の最終年度として、企業の事業再生や新規融資の促進等の企業に対する支援措置を講じていく旨を決定・公表しました。

「中小企業の会計に関する基本要領(案)」のパブリックコメント募集について

・中小企業庁と金融庁との共同事務局による「中小企業の会計に関する検討会」は、「中小企業の会計に関する基本要領(案)」を、11月8日17時に、中小企業庁、金融庁、日本商工会議所、企業会計基準委員会のホームページで公表し、パブリックコメントの募集を開始しました。

・経済産業省(中小企業庁)
http://www.meti.go.jp/feedback/index.html

・金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/23/sonota/20111108-1.html

・日本商工会議所
http://www.jcci.or.jp/sme/accounting/yoryo/

・企業会計基準委員会
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/domestic/sme12/

・今回の「中小企業の会計に関する基本要領(案)」は、「中小企業の会計に関する指針」によることを求めることが必ずしも適当ではない中小企業を対象として、実態に即した会計処理のあり方をまとめたものであり、わが国のほとんどの中小企業での利用を想定するものです。
「中小企業の会計に関する基本要領(案)」は、次の4つの考えを基に作成されています。
1)中小企業の経営者が活用しようと思えるよう、理解しやすく、自社の経営状況の把握に役立つ会計
2)中小企業の利害関係者(金融機関、取引先、株主等)への情報提供に資する会計
3)中小企業の実務における会計慣行を十分考慮し、会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計
4)計算書類等の作成負担は最小限に留め、中小企業に過重な負担を課さない会計

国税庁:東日本大震災により被害を受けた場合の税金の取扱いについて

・平成23年4月27日に施行された「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(震災特例法)の取扱いパンフレットから一部抜粋します。
●申告・納付等の期限延長
1)地域指定による延長
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の納税者の方、又は前記の地域に納税地のある法人については、平成23年3月11日以降に到来する全ての国税の申告・納付等の期限が延長されています。(手続は不要です。)
2)個別の申請による延長
上記1)以外の地域の納税者の方についても「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署に提出することにより、一定期間の範囲で申告・納付等の期限が延長されます。
※「災害による申告、納付等の期限延長申請書」
※国税庁:東日本大震災により被害を受けられた方へ(所得税関係)
※国税庁:東日本大震災で被害を受けた法人に対する国税関係の特例措置等

●災害を受けた場合の納税の緩和制度
・震災により災害を受けたことに基づき、国税を一時に納付することが困難な場合などには、「税務署に申請」することにより納税の猶予を受けることができます。
※「納税の猶予申請書」
※国税庁:災害を受けた場合の納税の緩和制度について

●平成22年分の所得税の還付について
・今回の大震災により、ご自身や扶養親族が所有する住宅や家財などに被害を受けられた方は、一定の要件のもとに「更正の請求」という手続きをして頂くことで平成22年分の源泉徴収された所得税や納付した所得税の還付を受けられる場合があります。
又、平成22年分の還付手続きの対象とならない方でも、平成23年分の所得税の軽減等を受けられる場合があります。
※国税庁:平成22年分の所得税の還付に関する判定表

●個人事業者の場合
・個人事業者の方が所有していた棚卸資産、事業用資産等について、今回の大震災により生じた損失については、平成22年分の事業所得の金額等の計算上で必要経費として計算することができます。
又、一定の場合には、「平成21年分の所得」に繰り戻して、所得税の還付請求をすることもできます。
※国税庁:東日本大震災により被害を受けられた個人事業者の方へ

●自動車重量税の還付・免税措置
・震災により被害を受けて廃車となった被災自動車の所有者の方は、「自動車重量税の還付申請書」を提出することにより、自動車重量税の還付を受けられます。
尚、事前に自動車の永久抹消登録等の手続が必要です。
・被災自動車の使用者であった方が、平成23年3月11日から平成26年4月30日までの間に、買換車輛(中古車を含みます。)を取得し、自動車重量税に係る免税届出書を提出することで、最初に受ける自動車検査証の交付等に係る自動車重量税が免除されます。
※国税庁:東日本大震災により自動車に被害を受けられた方へ
※国税庁:自動車重量税の廃車還付制度について・・・申請様式等を参照できます。

●印紙税の非課税措置、登録免許税の免除特例
※国税庁:東日本大震災により被害を受けられた方が作成する契約書等に係る印紙税の非課税措置について
※国税庁:東日本大震災で被災した建物・船舶・航空機を再取得した場合の登録免許税の免除特例について

【平成23年度税制改正大綱】が閣議決定され、公表されました。

・平成23年度税制改正においては特に、①デフレ脱却と雇用の為の経済活性化②格差拡大とその固定化の是正③納税者・生活者の視点からの改革④地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制改革、の4つを柱としています。
「平成23年度税制改正大綱」は、以下のアドレスでご覧いただけます。
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/h23zeiseitaikou.pdf

中小企業統計データ

下記サイトをご参照下さい。
http://www.jsbri.or.jp/new-hp/statistics/

政府、平成22年度税制改正大綱を決定! その4<消費課税・納税環境整備> 

「平成22年度税制改正大綱~納税者主催の確立へ向けて~」その4です。

5.消費課税
(1)燃料課税
揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税に係る現行の10年間の暫定税率は廃止する。
ただし、当分の間、揮発油税、地方揮発油税については、現在の税率水準(両税計1キロリットルにつき53,800円)を維持することとし、軽油引取税についても、現在の税率水準(1キロリットルにつき32,100円)を維持する。
なお、石油価格の異常な高騰時には、本則課税を上回る部分の課税を停止するような法的措置を併せて講ずる。
(2)車体課税
① 自動車重量税
現行の10年間の暫定税率を廃止し、地球温暖化対策の観点から、次世代型自動車(電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、所定のハイブリッド車等)には本則税率を適用し(ただし、平成24年4月末までのエコカー減税制度は維持)、それ以外のCO2排出量が多いガソリン車等については本則税率の2倍の税率にするなど、環境負荷に応じた税率を設定することとし、暫定上乗せ分の国分の半分程度に相当する規模で税負担軽減を図る。
なお、石油価格の異常な高騰時の対応については、燃料課税の措置と併せ、今後、速やかに検討する。
② 自動車取得税
現行の10年間の暫定税率は廃止する。
ただし、当分の間、現在の税率水準(100分の3。自家用の自動車で軽自動車以外のものの取得に対して課する税率は、100分の5。)を維持する。
また、いわゆる「エコカー減税」(24年3月末まで)については、制度の仕組みを維持する。
なお、石油価格の異常な高騰時の対応については、燃料課税の措置と併せ、今後、速やかに検討する。
(3)たばこ税
国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって税率を引き上げていく必要がある。その判断にあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を見極めつつ行うこととし、その過程で、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、新たな枠組みの構築を目指すこととする。この方針に沿って、平成22年度において、旧3級品以外のたばこ1本あたり3.5円の税率の引上げ(価格上昇は5円程度)などを行う(実施時期は平成22年10月1日)。
(参考)
(現行) (改正案)
国のたばこ税  1,000本につき   3,552円   5,302円
地方のたばこ税 1,000本につき   4,372円   6,122円
(道府県たばこ税 1,000本につき   1,074円   1,504円)
(市町村たばこ税 1,000本につき   3,298円   4,618円)
合 計    1,000本につき   7,924円  11,424円

6.納税環境整備
課税の適正を図り、税制への信頼を確保する観点から、国税関係の罰則について、脱税犯に係る懲役刑の上限を5年から10年に引上げるなど、脱税犯及び秩序犯に係る法定刑の引上げ等、並びに税務職員の守秘義務違反(秘密漏洩)に係る罰金刑の引上げ等を行うなどの措置を講ずる。

政府、平成22年度税制改正大綱を決定! その3 <資産課税> 

「平成22年度税制改正大綱~納税者主催の確立へ向けて~」その3です。

4.資産課税
(1)住宅関係
〔国税〕
① 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じる。
イ 非課税限度額(現行500万円)を次のように引き上げる。
(イ) 平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
(ロ) 平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円
ロ 適用対象となる者を贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定する。
ハ 適用期限を平成23年12月31日(現行平成22年12月31日)までとする。
(注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。ただし、平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、上記の改正前の制度と選択して適用できることとする。
② 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限を2年延長する。
(2)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
① 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
イ 相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200㎡まで50%減額)を適用対象から除外する。
ロ 一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定する。
ハ 一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算する。
ニ 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化する。
(注)上記の改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等に係る相続税について適用する。
(3)その他
〔国税〕
① 定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価について、現行の評価方法による評価額が実際の受取金額の現在価値と乖離していること等を踏まえ、次の見直しを行う。
イ 給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額とする。
(イ) 解約返戻金相当額
(ロ) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、当該一時金相当額
(ハ) 予定利率等を基に算出した金額
ロ 給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額は、原則として、解約返戻金相当額とする。
(注1)上記イの改正は、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利(当該期間内に締結した契約(確定給付企業年金等を除く。)に係るものに限る。)及び平成23年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用する。
(注2)上記ロの改正は、平成22年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用する。
② 相続税の障害者控除について、控除額の算出に用いる年数を相続人等が85歳(現行70歳)に達するまでの年数とする。
(注)上記の改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈に係る相続税について適用する。
③ 小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者の死亡に伴い支給を受ける一時金について、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とする。
④ 中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される従業員の死亡に伴い支給を受ける一時金について、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とする。

政府、平成22年度税制改正大綱を決定! その2 <法人課税> 

「平成22年度税制改正大綱~納税者主催の確立へ向けて~」その2です。

2.法人課税
(1)資本に関係する取引等に係る税制
(省略)
(2)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度
特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度について、廃止する。特殊支配同族会社の役員給与に係る課税のあり方については、いわゆる「二重控除」の問題を踏まえ、給与所得控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講ずる。
(注)本制度は、平成22年4月1日以後に終了する事業年度から適用されないこととなる。
(3)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
① 情報基盤強化税制について、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(以下 省略)
(延長・拡充等)
① 中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
② 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
③ 中小企業等基盤強化税制を拡充し、資本金の額等が1億円以下の法人による仮想化ソフトウエア等を含む情報基盤強化設備等の取得に係る措置を追加する(所得税についても同様とする。)。
④ 試験研究費の増加額に係る税額控除(増加型)又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除(高水準型)を選択適用できる制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
⑤ 交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長する。
⑥ 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を2年延長する。
⑦ 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用期限を2年延長する。

3.国際課税
(省略)

債務償還年数について

「債務償還年数(年)」も経営指標の一つであり、金融機関の企業格付において債務償還能力を見る上で重要な指標です。

・算式
有利子負債/償却前営業利益=債務償還年数(年)

・解説
現在の有利子負債を「償却前営業利益」(=返済原資)で割り、完済まで何年かかるかを図る指標。
当然、短いほど良い。

※償却前営業利益=営業利益+減価償却費
企業の営業活動の成果である営業利益に、金銭の支出を伴わない減価償却費を加算した金額を、借入金の返済財源と考える指標。

・企業格付の内容
※金融機関によって異なると考えられます。
マイナス:0点
20年超:1点
20年以内:2点
15年以内:3点
12年以内:4点
10年以内:5点
9年以内:6点
8年以内:7点
7年以内:8点
6年以内:9点
5年以内:10点
4年以内:11点
3年以内:12点
2年以内:13点
1年以内:15点

<補足>
企業再生コンサルタントの川野雅之先生(http://www.kawacon.com/)は、その著書【中小企業再生の智恵】(TKC出版)の6頁で次のように云っています。
「・・・1年~3年:適正、3年超~5年以内:やや過剰、5年超~10年以内:危険水域、10年超:完全な過剰債務・・・。
3年を超えるとなぜ適正でなくなるのでしょうか?・・・少子高齢化社会の進展による国内市場の縮小。頼りにしていた海外経済の破綻。為替相場の激変。原材料費の高騰。・・・現在のビジネスモデルや収益が、今後も長期間にわたって維持できるとはとても考えられません。したがって、借入金も3年以内に完済できる程度でなければ、今後も激変が予測されるマーケットに適切に対応できないのです。・・・」

川野先生のこのコメントも是非とも参考にして頂きたいところです。

損益計算書における経営分析値

●売上高経常利益率(%)
・計算式
経常利益/純売上高×100=売上高経常利益率(%)

・解説
この指標は、会社の経営成績を見るうえで重要な指標です。売上高に対する経常利益の割合を示しています。

・企業格付の内容
※金融機関によって異なると考えられます。
格付項目の「収益性スコア」となります。

2%未満:1点
2.5%未満:2点
3%未満:3点
4%未満:4点
4%以上:5点

●インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
・算式
(営業利益+受取利息・配当金)/支払利息割引料=インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

・解説
借入利息等の金融費用の「支払能力の余裕度」をみる指標。
この倍率が高いほど金融費用の支払能力の余裕度が高い。
逆に、この分析値が低い会社は、有利子負債が多いか営業利益が少ない会社であるため、本業が儲かっていないのに利息の支払いは重い状況である、と云えます。

・企業格付の内容
※金融機関によって異なると考えられます。
格付項目の「債務償還能力スコア」となります。

1倍未満:0点
2倍以内:2点
2.5倍以内:3点
3倍以内:4点
3.5倍以内:5点
4倍以内:6点
5倍以内:7点
5倍超:8点

貸借対照表における経営分析値 その2

●ギアリング比率(負債比率)(%)
・計算式
有利子負債/自己資本×100=ギアリング比率(%)

※有利子負債
利息負担が生じる負債。例えば短期借入金、長期借入金など。但し、計算上、分子には割引手形は含めません。

※自己資本
返さなくともよい資本。
中身は、資本金と資本剰余金と利益剰余金。
この自己資本と他人資本(負債)を足したものが「総資本」であり、貸借対照表の合計欄となります。

ちなみに・・・、銀行や信用金庫の自己資本比率は、貸出残高、保有有価証券などの総資産に占める資本金、引当金など内部資金の割合ですが、国際決済銀行(BIS)の規制では株式などの含み益の一部も自己資本とみなし、国際取引を行う場合、8%を維持することが条件とされます。
また、国内業務に特化した銀行は最低基準は4%を維持することが求められています。このような規制を自己資本比率規制と云います。

・解説
自己資本と有利子負債の割合を算定し、財務の「安全性」を図る指標です。
この比率が低ければ低いほど金融機関の格付は高くなります。

・企業格付の内容
※金融機関によって異なると考えられます

250%超:0点
250%以内:2点
200%以内:4点
150%以内:6点
100%以内:8点
50%以内:10点
40%以内:11点
30%以内:12点

●自己資本比率(%)
・計算式
自己資本/総資本×100=自己資本比率(%)

・解説
自己資本比率が高い会社は、過去の決算において利益計上し、内部留保を積み重ねることにより資金調達を行ってきた会社です。反対に自己資本比率が低い会社は、資金調達を他人資本(借入など)中心に行ってきた会社である、と云えます。

自己資本比率が高い会社は、それだけ安定した資金を確保しており、財務体質が良好である、と判断されます。

自己資本比率が低い会社は、支払利息等のコストのかかる他人資本に大きく依存していることとなり、その財務体質が懸念されるところです。

目標とするところは、35~40%以上です。

・企業格付の内容
※金融機関によって異なると考えられます

15%未満:0点
15%以上:1点
20%以上:3点
30%以上:6点
35%以上:7点
40%以上:8点
50%以上:9点
60%以上:10点

貸借対照表における経営分析値 その1

●流動比率(%)
・計算式
流動資産/流動負債×100=流動比率(%)

・解説
イ)流動比率が100%を超える場合
(流動資産>流動負債)
流動負債(早く支払わなければならないもの、例えば買掛金、未払金、短期借入金など)を今すぐ直ちに全額支払え!と云われた場合、流動資産(資金・及び早く資金化できるもの、現預金や売掛金、棚卸資産など)を財源として支払うことが可能となります。従って、流動比率が100%を超える企業は、「短期的支払能力の高い企業」であると云えます。

ロ)流動比率が100%未満である場合
(流動資産<流動負債)
流動負債を今すぐ全額支払え!と云われた場合、流動資産だけでは支払うことが不可能である為、固定資産(土地、建物など)を売却して資金を作って支払わなければなりません。
従って、流動比率が100%未満である企業は
「短期的支払能力の低い企業」であると云えます。

・金融機関の企業格付
金融機関は、資金の貸出先である企業の格付を行っています。
「流動比率」は、企業格付を行う際の「定量要因」となっており、その内容はおおよそ次の通りです。
100%未満:0点
100%以上:1点
120%以上:3点
140%以上:5点
160%以上:7点

※当座比率(%)
当座資産/流動負債×100=当座比率(%)
・当座資産とは
現預金+売上債権+有価証券+不渡手形-貸倒引当金
ポイントは、棚卸資産を含んでいない、という点です。

イ)流動比率、当座比率とも100%を超える場合
流動負債を直ちに全額支払え!と云われた場合、当座資産(流動資産の内、資金化できるか否か不確定な棚卸資産を除外したもの)を財源として支払うことが可能。
当座資産は、資金化の可能性が高い資産なので、「当座比率」は「流動比率」よりも企業の短期的支払能力をよりシビアに算定する比率。
当座比率は高い方が望ましいが、売上債権(売掛金、受取手形等)の中に不良債権が潜んでいるために比率が高くなっているケースもあるので注意が必要。

ロ)流動比率は100%を超えるが、当座比率は100%未満である場合
流動負債を全額支払え!と云われた場合、当座資産だけでは支払うことが不可能となり、「棚卸資産の売却による資金化」がポイントです。
流動資産の内、棚卸資産の占める割合が高い場合、流動比率は高くても当座比率は低くなります。

相続時精算課税制度について

【相続時精算課税制度】
※平成21年4月1日現在法令等によります
ポイント
①満65歳以上の親から満20歳以上の子への贈与
(年齢はいずれも贈与の年1月1日現在で判定)
・通常の贈与制度と選択する形
・子:代襲相続人、養子を含む
・人数制限無し
・兄弟姉妹が適用を受けるかどうかをそれぞれ別々に選択できる
・選択すると贈与者(父・母)が亡くなるまで継続して適用され、金額や期限に制限は無い
②2,500万円(住宅取得等資金の場合:1,000万円加算)まで無税で贈与できる
・超える部分については一律20%の税率で課税
※住宅取得等資金=一定の家屋を取得する為の資金、又は自己の居住の用に供する家屋の一定の増改築の為の資金
・通常の贈与制度の基礎控除110万円の適用不可=贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告が必要となる
・住宅取得資金の贈与については、父母の年齢制限は無い
③相続時には新制度の適用を受けた財産を合算して相続税を計算
・新制度を選択した子は、親の相続発生時に、それまでに新制度の適用を受けた贈与財産と相続財産とを合算して計算した相続税額から、既に納めた贈与税相当額を控除して相続税を計算する
④合算する贈与財産の価額は贈与時の時価
・将来値上がりする可能性が高い財産について、評価の低いうちに贈与したり、評価を下げてから贈与することも考えられる
例)・ここ数年のうちに市街化区域に編入されることが予想できる中世区域内
の土地、収容予定地
・現金で贈与する代わりに収益物件(貸家など)を建築してから贈与する
→貸家の評価にすると、現金に比べて5分の1程度になる
⑤手続関係
・相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出。
・相続時精算課税は、受贈者である子それぞれが贈与者である父、母ごとに選択できるが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなった時まで継続して適用され、暦年課税に変更することができない。
(制度のあらまし など)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103_sankou.htm
(住宅取得資金の贈与以外に贈与を受けた場合 など)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4504.htm
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4503_qa.htm#q1

【その他】
① 登録免許税
<売買等>
H21年3月まで:1.0%
H21年4月1日からH22年3月31日:1.3%
H22年4月1日からH23年3月31日:1.5%
<贈与・遺贈>
2.0%
②不動産取得税
住宅・住宅用地:3%(但しH24年3月31日まで)
上記以外:4%

(注)【お役立ちコーナー 税金の豆知識】
も是非ご参照ください。

生前贈与における注意点

【生前贈与における注意点】
①贈与契約書によって贈与を立証する
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贈与契約書
贈与者 山田太郎 と受贈者 山田次郎 との間で下記の通り贈与契約を締結した。
第1条山田太郎は、その所有する下記の財産を山田次郎に贈与するものとし、山田次郎はこれを受託した。
株式会社 山田商店の株式  1,000株
第2条 山田太郎は、上記財産を平成  年  月  日までに山田次郎に引き渡すこととする。
上記契約の証として本書を作成し、贈与者、受贈者各1通保有する。
平成  年  月  日
贈与者(住所)○○市○○町△△丁目
(氏名)山田太郎    印
受贈者(住所)○○市○○町××丁目
(氏名)山田次郎    印
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・契約書に公証役場で確定日付をもらっておくと、時期についても確実となる
・その他、確実に証拠を残すためのポイント
イ)父母又は贈与する人の銀行口座から贈与する金額を引き出し、もらう人の銀行口座へ毎年あげたいときに振り込む。
ロ)もらう人は自己名義の口座を作っておく。
(開設申込は必ず本人又は親権者の自署押印によること)
ハ)現金をもらった人(又はその親権者)が通帳、印鑑、証書などを保管。
届出印鑑は必ず贈与者のものとは別にしておく。
②贈与成立の時期は方法により異なる
・口約束→履行日
・書面による贈与→契約書作成日(登記・登録等が必要なものはその時)
・贈与日が不明→名義変更時
・停止条件付贈与→条件成就の時
・農地等の贈与→農地法の許可又は届出の発効日
③連年贈与とならないように注意する
毎年1つの契約に基づく継続的な贈与を続けていくと連年贈与とみなされて、一括して贈与税がかかることがある。これを防ぐために・・・
・毎年違った金額
・毎年なるべく違った財産
・毎年違った月日
で贈与することが賢明
・・・です。

(注)【お役立ちコーナー 税金の豆知識】
も是非ご参照ください。

変動損益計算書

今回は、実践的な管理会計、すなわち『変動損益計算書』の重要性について簡単にご紹介したいと思います。
変動損益計算書は、外部報告としての財務会計の考え方とは違って (要は、税務署があるから作成しなければならない帳簿ではなく) あくまでも経営の究極の目的である「利潤と賃金の追求」を達成するための道具としての内部計算としてのものです。
おおまかな計算手順は次の通りです。
売上高(売った金)-変動費(買った金)=限界利益(儲かった金)
限界利益-固定費(使った金)=経常利益(残った金)
ポイントは、経費を
(1)売上高の増減によって増減する経費(変動費)
(2)売上高の増減に関係無く発生する経費(固定費)
の2種類に分けて計算する、という点です。
変動損益計算書を使うと、より実態的な経営数字が見えてきます。その一つが、「損益分岐点売上高」です。
これは『損益がちょうどゼロとなる売上高』のことです。 いわゆる「ウチの会社、最低いくらの売上が必要なのだ!」というそのボ-ダ-ラインとなる 売上高のことです。
例を挙げてみましょう。
ある製造業者は年間の売上高が1億円です。 決算書をみると当期製品製造原価が8,000万円でした。 差し引きの売上総利益は2,000万円です。 それから販売費及び一般管理費が1,000万円、 借入金の支払利息などの営業外費用が500万円で差し引きの経常利益が500万円です。
この決算書から損益分岐点売上高を算出するのは困難です。 当期製品製造原価の8,000万円の中には、材料費、外注加工費、工場で使用する消耗品、 工場で働く従業員の賃金、会社負担の社会保険料等があることでしょう。
材料費、外注加工費、消耗品費は一般的には変動費(売上に応じて発生するもの)で、 労務賃金、社会保険料等は固定費(売上があっても無くても発生するもの)です。 この例で、材料費等の変動費が7,000万円としますと、限界利益は売上高の1億円から差し引いて 3,000万円です。ここで限界利益を売上高で割ると30%となります。
これが「限界利益率」となります。
当期製品製造原価の内、固定費は8,000万円から変動費の7,000万円を差し引いた1,000万円です。 販管費と支払利息等は一般的に固定費ですから、 販管費の1,000万円と500万円を先程の1,000万円に足した2,500万円が固定費の合計です。 損益分岐点売上高は、収支トントンつまり経常利益がゼロとなる売上高ですから、 云いかえると「儲け(限界利益)=固定費」となる売上高です。 計算方法は、固定費を限界利益率で割ります。 この例では固定費が2,500万円で限界利益率が30%ですから、2,500万円を0.3で割りますと 83,333,333円となります。(スミマセン、割り切れません)
すなわち、今の状態だと年間8,400万円弱の売上高を維持できれば収支トントンでいける、 ということです。
変動損益計算書は、このような損益分岐点分析への活用にとどまらず、 製品の価格決定にも大いに活用することができます。 厳しい価格競争に打ち勝ってシェアを高めていくには 『製品の価格をどこまで引き下げることができるか』 が大きなポイントとなってきます。
当然競争価格は全社的な損益分岐点売上高を超える範囲で設定しなければなりませんから この価格の下限を決定するためには様々な計算の根拠デ-タが不可欠となるでしょう。
基本的な価格の下限として、次の三つをご紹介します。
(1)単位当たり製造原価と単位当たり販管費の合計額(単位当たり総原価)
(2)単位当たり製造原価
(3)単位当たり変動費(これを『絶対的下限』といいます)。
例えば、ス-パ-マ-ケットやディスカウントショップの広告品などは価格の下限がほぼ(3)の 単位当たり変動費に近い価格で売り出されているはずですが、 それが利益の大きい他の商品の「ついで買い」を誘い、 全体としての売上促進に側面から貢献しているはずです。 是非、変動損益計算書を活用してみてください。

何故、帳簿を作成しなければならないか その2

『簿記・会計は果たしてお客様である中小企業にとって役に立っているのか』という素朴な疑問があります。 ここで、簿記の歴史を振り返ってみます。 我が国では第二次世界大戦後に、米国のシャ-プ博士が、「日本の現状は惨憺たるものだ。このままでは日本は再建できない」として、 日本の納税制度の構築に踏み込みました。 結果、商売人(事業者)に帳簿の記帳を義務付け、その帳簿によって自分の納税額を計算し申告する制度、 いわゆる『青色申告制度』が出来たのです。 ただし、この制度に関して、ただやれ、といってもなかなか書いてくれないものでしたから国としては、 「記帳をしっかりやってちゃんと申告する場合はおまけ(特典)をつけましょう、だからしっかり帳簿を書いてください」という、 いわゆる『青色申告の特典』をつくったのです。
例えば、欠損金(赤字)の場合は青色申告であれば、法人であれば5年間、個人であれば3年間繰り越して控除してあげます、 とか、個人の場合、奥さんとかが仕事を手伝っていれば給料を出してもいいですし青色申告であればその分経費で落としてもいいですよ、 とか、様々な優遇措置があります。
結果こういった租税優遇措置によって帳簿の記帳を誘導した、といことです。しかしここで、我が国のこういった一般的認識、 すなわち青色申告の特典を受けるために記帳するという認識ははたして正しいのでしょうか? 尚、同じ世界大戦の敗戦国であるドイツでも当初日本と同じような申告制度が制定されましたが、連邦財政裁判所判決や学説が 「簿記は優遇措置を受けるためのものではない」(簿記は、その自己目的ではない)と批判し、 1975年以後廃止(日本でいえば、青色申告制度廃止)されています。
(1)帳簿の証拠力を高めることによる、商人や記帳義務者の権利の確立(自己防衛) 紀元前3,000年のエジプトの遺跡でパピルス(当時、紙の代用品として使われていたらしい)の裏に単式簿記の帳簿が記 されていた、という研究家の発表もあります。 当時も様々な商取引があった様で、後でトラブル(お金をもらった、もらわないとか)が発生したときに備えて(当時も裁判 所があったらしい)きちんと帳簿を書いていた、ということらしいのです。 すなわち、自分を色々なトラブルから守るために帳簿を書いていた、というまさしく『自己防衛』だったのです。
(2)自己報告による破産防止 又、前回の話の中で「何でそんな厳格な決算を組まなければならないのか、役員といっても身内しかいないんだ。 そんな我々中小企業の決算書のどこにどんな報告義務があるの?」という素朴な疑問があったと思います。 私も受験生時代、商法とか会計学を勉強しましたが、この疑問点について我が国の文献は何らの示唆も与えてくれません。 会計学では『株主、債権者、その他の利害関係者正しい経営情報を提供するためにある』という内容のことを云っています。 そもそも日本の商法はどんな経過を踏んでつくられたのでしょう。
日本の商法は明治23年(1,890年)にドイツ人のヘルマン・ロイセールによってドイツの商法を真似てつくられました。 ではドイツの商法はというと世界で最初の商法であるフランス・ルイ14世の商事王令が基本となっているようです。 当時のフランスは世界で最も隆盛を極めていましたが、その後1,670年に入るとバブルの崩壊で各地で破産が続出したのです。 そこでルイ・14世がコルベ-ル(大蔵大臣)やサバリ(学者)を呼んでつくらせたのがこの商事王令です。 すなわち世界で最初の商法は『破産防止法』だった、ということです。 この商事王令ではその第11章第12条で帳簿をきちんと書いてない者は死刑に処する、という規定を設けています。 それくらいの覚悟で商法による記帳義務が始まったのですね。
なお商事王令以後、各国の商法は『無秩序な記帳は破産者の特徴である』との思想のもとで、 順次商法や破産法を制定することとなったのです。
私の個人的な考えもかなりのウェイトを占めていますが、歴史を振り返ってみると、以上の2点がその答えになると思われます。

何故、帳簿を作成しなければならないのか

私は、職業上個人事業や中小企業の経営者と接する機会が毎日のようにあります。 最低でも一ヶ月に一回はお客様(企業様)側に出向いて、前月分の帳簿等をチェックし、誤りがあった場合は訂正するよう指導したり、 又、経営実績の説明や利益計画な立案のお手伝いなど、色々な角度からのアドバイスもさせていただいております。 帳簿の記帳指導といえば、例えば飲食店の領収書があったとします。そして企業側で記帳している帳簿にその取引の内容がしっかり記入してあるかを見るわけですが、帳簿には「日付」と「金額」、そして「支払い先」はしっかり記入してあるとします。そして仕訳の借方勘定は「接待交際費」としてあったとします。しかし、その支払いがどういった内容のものか、つまり「誰が、誰をどういった内容で接待したのか」までは記入していないとすれば、我々は質問をして確認などをして、その内容を記入するよう指導するわけです。 この『記帳指導』の段階でお客様から様々な反論(?)が聞こえてきます。
(1) お客様(企業様)の声
・『何故、会計伝票(帳簿)をウチらが書かなければならないの?先生の言う通り帳簿をしっかり書けば利益が上がりますか?』
・『今までは先生の言う通りに女房が帳簿を書いてきましたが、不況ですし、ウチの女房も 現場で頑張ってもらわないと大変なんです。領収書や請求書の整理とか、ましてや帳簿も書いている暇なんて無いですよ。ここは先生!、困ったものを助けると思って、すべてそちらで上手くやってもらえませんか? ……赤字ですから税務署も怖くないんですよ……』
・『月々の試算表や年度の決算なんて、ウチのような小さな店では役に立ちませんよ。外部 の株主なんていない我々中小企業が、何故そんなに厳格な「棚卸し」とかしてまで厳格な決算を組まなければいけないのですか? 自分の店のことは自分が一番よくわかっているし、万が一の場合には自分だけで責任をとる覚悟です。ですから、それほどまでに厳格な決算をつくる必要は無いと思いますけど……。時間の無駄なんじゃないですか?』
(2) 現状
・税務署による税務調査というものがあります。「税務署が怖いから、青色申告をしている関係上仕方なく帳簿を書いている」という認識が我が国において結構多かったりするように思われます。
・金融機関による企業格付けというものがあります。なかには「赤字の決算書は銀行に提出できない。最近は決算書のみならず、先月の試算表も提出しなければならない。だから仕方がないので帳簿を書いている」という認識も結構多かったりします。
はたして、一体帳簿は何のためにあるのでしょうか?